介護でトイレまで行けないときはどうする?自宅介護のトイレ対策を解説
投稿日:2026.08.09
介護でトイレまで行けないときはどうする?自宅介護のトイレ対策を解説
年齢を重ねたり、病気やケガなどで身体が弱ったりすると、それまで当たり前だった「トイレへ行く」ということが大きな負担になることがあります。
「寝室からトイレまで歩くのが難しくなってきた」
「夜中に何度もトイレへ連れて行くのが大変」
「転ばないか心配で、一人では行かせられない」
「ポータブルトイレを使っているけれど、処理やニオイが負担になっている」
こうした悩みは、介護される本人だけでなく、一緒に暮らしている家族にとっても大きな問題です。
自宅介護でトイレまでの移動が難しくなったとき、方法は一つではありません。
現在あるトイレまで介助して移動する方法もあれば、ポータブルトイレを使う方法、寝室近くに新しくトイレを作る方法もあります。
また、TOTOにはベッドの近くへ設置できる「ベッドサイド水洗トイレ」という商品もあります。
大切なのは、どの商品を選ぶかよりも、介護される本人ができるだけ自分らしく生活でき、介護する家族にも無理が続かないトイレ環境を考えることだと思います。
トイレまで行くことは、身体が弱ると想像以上に大変です
元気なときには、寝室からトイレまで数メートル歩くことを負担に感じることはほとんどありません。
しかし身体が弱ってくると、
ベッドから起き上がる
↓
立ち上がる
↓
トイレまで歩く
↓
ズボンや下着を下ろす
↓
便座へ座る
↓
排泄後に再び立ち上がる
↓
寝室まで戻る
という一連の動作すべてが負担になることがあります。
私自身も入院した経験があり、身体が弱っているときには、ほんの数メートル先のトイレまで移動することさえ大きな負担になることを実感しました。
普段なら何でもない距離でも、身体の状態が変わればまったく違って感じます。
そのため、自宅介護のトイレを考えるときは、「便器をどうするか」だけではなく、ベッドからトイレまでの移動そのものをどうするかまで考えることが大切です。
排泄は「できるだけ自分でできること」も大切にしたい
介護というと、どうしても「家族がどう介助するか」という視点になりがちです。
しかし、トイレについては介護される本人の気持ちも非常に重要です。
排泄はとてもプライベートな行為です。
できることなら、
「一人でトイレへ行きたい」
「できるだけ自分で排泄したい」
「家族に毎回手伝ってもらいたくない」
と感じる方もいらっしゃると思います。
もちろん身体状況によって介助が必要な場合もあります。
それでも、住環境を少し変えることで本人が自分でできる動作を残せるのであれば、それは介護される方にとっても、介護する家族にとっても大きな意味があります。
自宅介護でトイレまで行くのが難しくなったときの4つの方法
トイレへの移動が難しくなった場合、主に次のような方法があります。
それぞれメリットとデメリットがあり、「この方法が一番良い」と一概には言えません。
本人の身体状況、住宅の間取り、家族の介護状況、予算などを考えながら選ぶことが大切です。
① 今あるトイレまで介助して移動する
まず考えられるのは、現在あるトイレをそのまま使い、家族などが移動を介助する方法です。
本人がある程度歩ける場合には、できるだけ今までと同じ生活を続けられるメリットがあります。
手すりの設置や段差の解消などによって、移動しやすくできることもあります。
一方で、寝室とトイレが離れている場合や夜間に何度もトイレへ行く場合には、本人にも家族にも負担が大きくなることがあります。
特に夜は眠気もあり、暗い廊下を移動することに不安を感じるケースもあります。
こんな場合には検討しやすい方法です
本人がまだある程度歩くことができ、手すりや動線の改善によって安全にトイレまで移動できそうな場合です。
すぐにトイレそのものを増設するのではなく、まず現在の住環境を見直すことで解決できることもあります。
② ポータブルトイレを使用する
ベッドの近くへ設置できるポータブルトイレは、自宅介護ではよく利用される方法の一つです。
大掛かりな給排水工事が必要なく、比較的導入しやすいことが大きなメリットです。
ベッドからトイレまでの移動距離も短くできます。
一方、使用後には排泄物の処理が必要になります。
利用頻度や介護状況によっては、
「毎回の処理が大変」
「寝室なのでニオイが気になる」
といったことが家族の負担になる場合もあります。
ポータブルトイレが悪いということではありません。
身体状況や介護期間、住宅の条件によっては、とても使いやすい方法です。
ただ、長期間使用する場合には、本人だけでなく処理をする家族の負担も含めて考えておきたいところです。
③ 寝室の近くに一般的なトイレを新しく作る
住宅の間取りによっては、寝室の隣や使わなくなった部屋、押し入れなどを利用して、新しく洋式トイレを作る方法もあります。
一般的なトイレを作ることができれば、自宅の中にもう一つ通常の水洗トイレができるため、長期的には使いやすい方法です。
一方で、トイレを新設するには、
- 給水管
- 排水管
- 電気
- 床
- 壁
- 換気
などの工事が必要になることがあります。
特に排水管をどこへ接続できるかによって、工事内容は大きく変わります。
寝室の近くに排水管が通っていれば比較的工事しやすいこともありますが、住宅によっては床を大きく開けたり、排水管を長い距離施工したりする必要があります。
そのため、「寝室にトイレを作りたい」と思っても、まず現地を確認しなければ工事方法や費用は判断できません。
④ ベッドサイド水洗トイレを設置する
もう一つの選択肢として、TOTOの「ベッドサイド水洗トイレ」があります。

ベッドサイド水洗トイレは、介護が必要な方のベッドの近くに設置することを想定した水洗式のトイレです。
ポータブルトイレと大きく違うのは、使用後の汚物をその都度人が処理するのではなく、水洗できることです。
そのため、
- 排泄物を処理する負担を減らしたい
- 寝室のニオイが気になる
- トイレまでの移動距離を短くしたい
- 本人ができるだけ自分で排泄できる環境を作りたい
といった場合には、検討する価値のある選択肢です。
ただし、置くだけで使用できるポータブルトイレとは違い、給水・排水・電気などの工事が必要です。
また商品自体も高額になるため、すべてのご家庭に向いているわけではありません。
詳しい機能や設置方法については、別に「ベッドサイド水洗トイレ」の商品紹介ページを掲載しています。
ベッドサイド水洗トイレの費用はどのくらい?
TOTOベッドサイド水洗トイレの商品本体価格は、税抜535,000円です。
ただし、本体を購入するだけでは設置できません。
実際には、
- 給水工事
- 排水工事
- 電気工事
- 設置場所に応じた付帯工事
などが必要になります。
そのため、工事を含めると70万円~100万円程度になることが多いと考えられますが、実際の費用は住宅の状況によって大きく変わります。
例えば、給排水管が設置場所のすぐ近くにある場合と、離れた場所から配管しなければならない場合では工事内容が違います。
まず現地を確認して、「どこへ設置できるか」「どのような配管が必要か」を判断することが重要です。
4つの方法はどれが一番いい?
ここまで紹介した方法を簡単に整理すると、それぞれに向いているケースがあります。
今あるトイレまで介助する
大掛かりな設備変更が必要ない一方、移動距離が長い場合には本人や家族の介助負担が大きくなることがあります。
ポータブルトイレ
比較的導入しやすく、ベッドの近くで使える一方、排泄物の処理やニオイへの対応が必要になります。
寝室近くに一般的なトイレを新設する
通常の水洗トイレとして使える一方、住宅の構造によっては給排水・電気・内装などの工事が大掛かりになることがあります。
ベッドサイド水洗トイレ
ベッドの近くで水洗トイレを使用でき、排泄物処理や移動の負担を減らせる可能性がある一方、商品価格が高く、給排水・電気工事も必要です。
どの方法が良いかは、その家によって違います。
そのため最初から商品を決めるより、
「本人はいまどこまで動けるのか」
「家族はどの介助を負担に感じているのか」
「今後身体状況が変わったときにも使えるか」
という順番で考えた方が、合った方法を見つけやすいと思います。
夜間のトイレ介助は家族の負担も考える
自宅介護では、本人の負担だけでなく家族の負担も無視できません。
特に夜間のトイレ介助は、
本人が起きる
↓
家族も起きる
↓
ベッドから起こす
↓
トイレまで一緒に移動する
↓
排泄を介助する
↓
再び寝室へ戻る
という流れになります。
これが毎晩何度も続けば、介護する側の睡眠や体力にも影響します。
介護というと「本人のために頑張らなければ」と考えてしまいがちですが、家族が無理を続けられるわけではありません。
介護を長く続けるためにも、介護する側の負担を減らせる住環境を考えることは、とても大切です。
トイレまでの距離を短くすることが「自分でできる」につながることもあります
例えば、10メートル先のトイレまでは一人で歩けなくても、ベッドから1~2メートルの場所なら移動できる方もいらっしゃるかもしれません。
そうした場合、トイレそのものを本人の近くへ持ってくることで、介助が必要だった排泄を一部でも自分でできる可能性が生まれます。
もちろん身体状況は人それぞれです。
すべての方が自立できるということではありません。
ただ、「できなくなったから全部介助する」と考えるだけではなく、住環境を変えることで残せる能力がないか考えることも、介護リフォームでは大切な視点だと思います。
水道工事だけでなく、介護と住環境の視点から考えます
私たちは普段、トイレリフォームを行っています。
一方で、介護が必要な方のトイレについて考えるためには、水道工事の知識だけでは十分ではないと考えています。
「福祉用具専門相談員」の資格を取得したスタッフや「福祉住環境コーディネーター2級」を取得したスタッフも在籍しています。
資格を持っているから商品をおすすめするということではありません。
介護される本人と介護する家族の双方にとって、どんな住環境が使いやすいのかを考えるために、介護や福祉、住環境についても学んでいます。
水道工事だけを見るのではなく、
トイレリフォーム+介護+住環境
という3つの視点から、そのご家庭に合った方法を一緒に考えていきたいと思っています。
ベッドサイド水洗トイレの施工実績について
現時点で、当店ではベッドサイド水洗トイレの施工実績はありません。
そのため、実際に施工した経験をもとに商品の使い勝手などをお伝えすることはできません。
一方、一般的なトイレ新設や給排水工事、トイレリフォームについては日頃から施工しています。
ベッドサイド水洗トイレについても、住宅の給排水や電気、設置スペースなどを確認しながら、設置が可能かどうかを検討することになります。
商品ありきではなく、一般的なトイレ新設も含めて、その住宅に合った方法を考えることが大切だと思っています。
自宅介護のトイレは「どの商品にするか」から考えなくて大丈夫です
親の介護が始まったとき、
「何を用意したらいいのか分からない」
という方も多いと思います。
特にトイレについては、毎日のことなので早めに解決したい一方、大掛かりなリフォームをして本当に良いのか迷うところでもあります。
最初から、
「ポータブルトイレにする」
「寝室にトイレを作る」
「ベッドサイド水洗トイレにする」
と決める必要はありません。
まずは、
- 本人がどこまで自分で動けるか
- トイレまで何メートルあるか
- 夜間は何回くらいトイレへ行くか
- 家族がどこまで介助しているか
- 排泄物の処理が負担になっているか
- 将来身体状況が変わったときどうするか
といったことを整理してみると、必要な環境が見えてきます。
本人の尊厳と家族の負担、どちらも大切にしたトイレ環境を
トイレは単なる住宅設備ではありません。
排泄は毎日の生活そのものであり、できるだけ自分でできることは、その人らしく暮らすことにもつながります。
同時に、家族が無理をし続けなければ成り立たない環境では、自宅介護を長く続けることも難しくなります。
だからこそ、
本人ができることをできるだけ残すこと。
そして、
介護する家族の身体的・精神的な負担を少しでも減らすこと。
その両方を考えながらトイレ環境を整えていくことが大切です。
「トイレまで行けなくなったらポータブルトイレしかない」と思っていた方にも、一般的なトイレ新設やベッドサイド水洗トイレなど、ほかにも方法があります。
ご自宅の場合にどの方法が合うのか分からない場合は、住宅の状況やご家族の希望を伺いながら一緒に考えることもできます。
ベッドサイド水洗トイレについて詳しく知りたい方は、商品紹介ページもご覧ください。
トイレの新設や介護を考えたトイレ環境についてご相談の際は、TOPページからお問い合わせください。
