2020年9月の記事一覧
トイレの水洗化リフォームについて
今では一般的になっている水洗トイレですが、現在もトイレが水洗化していない地域もたくさんあります。
具体的に見てみると少し古いデータですが平成20年の総務省統計局のデータによると日本国内における水洗トイレのある住宅の割合は90.7%とのことでした。
ではトイレを水洗トイレにするにはどのような方法があるのでしょうか?
汲み取りトイレを水洗トイレにするには | 下水道につなぐ
もっとも一般的な方法はトイレを下水道につないで水洗化する方法です。
そのためにはお住いの地域に下水道が整備されているか否かが鍵になります。
公益社団法人 日本下水道協会によると令和元年度における全国の下水道普及率は79.7%(下水道利用人口/総人口)となっています。
では私たちの住む広島県、山口県などはそうなのでしょうか?
- 広島県下水道普及率75.8%
- 山口県下水道普及率66.8%
- 岡山県下水道普及率68.6%
- 島根県下水道普及率49.7%
- 鳥取県下水道普及率72.3%
中国五県全てが全国平均を下回っています。
汲み取りトイレを水洗トイレにするために下水道につなぐためにはこの下水道が整備されていることが欠かせません。
一般的には下水道が地域に整備されるとそれと並行して各ご家庭のトイレを下水道につなぎ、水洗トイレ化していきます。
具体的には公共下水道(下水道の本管)が地域に整備され、処理区域となると水洗化普及相談員と呼ばれる方が個別に訪問してこられ、下水の処理開始時期を知らせてくれます。
これに応じて個別に水洗化工事を行う必要があります。
この際、公共マス(最終マス)と呼ばれる汚水マスが敷地内に設置されます。一般的には敷地内の下水本管に近いところに設けられます。
公共マスから公共下水道までは繋がっていますので、皆さんが水洗化するときに必要なのは以下の事柄です。
- 下水道の使用申請
- 宅地内の配管工事(トイレ以外の排水管も公共マスに接続して公共下水道につなぐ必要があります。)
- 汲み取りトイレから水洗トイレへのトイレリフォーム
これらの手続きや工事は各地域の指定業者に依頼することになります。
また、様々な事情で公共下水道が敷設されたときに水洗化しなかった住宅で、後から水洗化する場合も上記のような流れになります。
地域にもよりますが、公共下水道が整備されたときに水洗化すると、補助金などが支給される場合もありますし、地域全体で工事を行なっているときに行う工事の方が後から個別で行うよりも費用が抑えられることもありますので、可能であれば下水道整備と同時に水洗化することをお勧めします。
汲み取りトイレを水洗トイレにするには | 浄化槽を設置する
では、公共下水道が整備されていない地域で汲み取りトイレを水洗トイレにするにはどうするのでしょうか?
この場合は下水道につなぐことが出来ませんので敷地内に浄化槽を設置し、この浄化槽にトイレ・台所・浴室・洗面所などの排水管をつなぎます。
浄化槽とは?
そもそも浄化槽とはどういったものなのかをご説明します。
浄化槽は微生物の働きを利用して汚水を綺麗にし、綺麗になった水だけを放流するための装置です。
敷地内に設置されている大きなマンホールの蓋のようなものが二つ並んでいるのを見たことあがある方も多いかと思います。
宅内から流れてきた汚水をバクテリアなどの微生物が分解し、綺麗になった水は放流し残った固形物などは数ヶ月に一回、汲み取り業者に汲み取りしてもらいます。
使用人数によって5人槽・7人槽・10人槽などがあります。
浄化槽設置しての水洗化工事とは
では浄化槽を使用してトイレを水洗化する場合はどんな感じなのでしょうか?
まず、公共下水道と同様に浄化槽を設置するには申請が必要です。
- 浄化槽設置申請
- 浄化槽設置工事
- 宅地内の配管工事(現状では一般的にトイレ以外の排水管も浄化槽に接続しなければいけません。)
- 汲み取りトイレから水洗トイレへのトイレリフォーム
これらの手続きや工事も指定業者に依頼することになります。
地域にもよりますが、多くの地域では一般住宅に浄化槽を設置する場合には補助金などが支給されます。
広島県・山口県などでは概ね30万円程度の補助金支給がされる地域が多いようです。
このようにトイレの水洗化には下水道につなぐか浄化槽を設置するという方法があります。
今後水洗化をお考えの方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。
和式トイレから洋式トイレへのリフォームについて
トイレのリフォームというと・洋式トイレの便器やウォシュレットを交換するインフィルリフォーム(部位リフォーム)・壁紙や床材など内装も含めてトイレ全体をリフォームする全面リフォーム・和式トイレから洋式トイレへ変更する和式トイレリフォーム
など、いろいろなリフォームがあります。
その中から今回は弊社でも月に2〜3件(年間30〜40件)くらいご依頼のある和式トイレのリフォームを取り上げてみたいと思います。
和式トイレの現状
日本のトイレは1960年代までは和式トイレが主流でした。
1959年に日本住宅公社(現・都市再生機構)が洋式トイレを採用したのがきっかけとなり洋式トイレが普及し始めました。
TOTOによると1976年に和式便器と洋式便器の出荷数がほぼ同数となり、急速に洋式化が進んだそうです。
2015年には和式トイレの出荷数は全体の1%を切るまで減少したそうです。
文部科学省が2016年に実施した調査によると、全国の公立小中学校のトイレの約6割が和式トイレだったそうですが、政府は年々洋式トイレの割合を引き上げる方向で検討を進めているそうです。
これは、公立の小中学校は災害時などに避難所が設営されることも多く、足腰の弱くなった高齢者や介護を必要とする人、妊婦さんなどにとって和式トイレは肉体的負担が大きく使いずらいといった点が考慮されているようです。
また、一般家庭でも洋式トイレが多くなり小学校に入学した新一年生が和式トイレの使い方がわからないといった話もよく聞きますね。
和式トイレのメリットとデメリット
そんな和式トイレですが、わずかですが現在も新しく出荷されるものがあるのも事実です。
なぜ和式トイレは無くならないのでしょうか?
特に一般家庭ではなく、公共施設などで新しく和式トイレが作られることがあるようです。
これは
「家のトイレは洋式トイレだけど、外では不特定多数の人が座る洋式トイレの便座には抵抗があるので、和式トイレを使う。」
という人が少なからずいることによるものだと思われます。
また、和式トイレのしゃがんで用を足すスタイルの方が座って用を足す洋式トイレよりも排便しやすいと言われています。
この二点が和式トイレのメリットとしてよく聞かれます。
では和式トイレのデメリットはどうでしょうか?
最も大きなデメリットは和式トイレのしゃがんで用を足すスタイルです。
これはご高齢の方や介護を必要とする方、妊婦さんなどにとっては足腰への負担が大きくとても大変な作業です。
そのほか、水はねしやすく便器まわりが汚れやすい点や、トイレが詰まった時の修理が大掛かりになってしまう点などがあります。
これらの事から、やはり現在では一般家庭における新築時のトイレは洋式トイレとなっており、和式トイレを長年使われてきたご家庭でも洋式トイレへリフォームされる方が多くなっています。
和式トイレのリフォーム
洋式トイレから洋式トイレへのリフォームと、和式トイレから洋式トイレへのリフォームではどんな違いがあるのでしょうか?
一般的な木造一戸建ての場合でご説明します。
一般的に洋式トイレは床の上に便器が設置されています。
ですので、リフォーム時も古い便器を取り外して新しい便器を設置するといったイメージです。
和式トイレの場合は便器が床に埋め込まれています。
床もフラットなところもあれば中央あたりに階段のように段差があるところもあります。
どちらかというとこの段差のある場合がほとんどだと思います。
和式トイレのリフォームの場合はトイレタンクを外し、この床を解体して埋め込まれている便器を取り外します。
そのあと解体した床をフラットな床にする必要があります。
木造一戸建ての場合は、床下が空洞になっている場合がほとんどですので、この時に床下で給排水の取り合いを行います。
床を支える根太などが腐っている場合にはそれらも新しくし、新しい床を作ります。
また、木造一戸建てで和式トイレの場合、隣に男子トイレが併設されていることが多くあります。
その場合、男子トイレスペースと和式トイレスペース各々が狭く、あいだに間仕切りの扉が付いていますが、洋式トイレにリフォームする際には男子トイレと間仕切りの扉を撤去して一つのスペースにして、広くゆったりとした洋式トイレにすることが多いです。
和式トイレのタンクを撤去した状態
このあと、床を解体します。
和式トイレの便器を撤去し、
床を解体し根太の補強を行っているところ。
新しい床はフローリングやクッションフロア、最近ではトイレ専用床材などお客様のご要望を聞いてご希望のもので作ります。
床と併せて壁の補修も行います。
壁についてもどのように新しくするかはお客様のご要望次第で、全面的にクロス貼りにして仕上げる場合や、腰板あたりまで新しくする場合、予算を抑えるためにもともと段差で隠れていた部分だけ簡易的に補修する場合などがあります。
また、多くの場合和式トイレには電源コンセントがありませんので、ウォシュレットなどを使う際に必要な電源コンセントを新たに設置します。
こうして和式トイレの撤去、床・壁の解体補修、給排水工事、電気工事が完了するとあとは洋式トイレのリフォーム同様に新しい便器を設置します。
以上が和式トイレから洋式トイレへのリフォームの大まかな流れです。
大体の場合、工事期間は1日で朝9:00にスタートして夕方までには完了します。
予算は正直様々です。
現在のトイレの状況や、お客様のご要望(内装や新たに設置する洋式トイレのグレードなど)によって大きく変わります。
目安としては概ね20万円くらいからだと思いまが、実際にリフォームのご依頼をいただいた際には必ず現地にお伺いしてお見積もりをさせていただいております。
このような感じで和式トイレの洋式トイレへのリフォームは行われますが、実際に施工させていただいたお客様は、やはりみなさんとても喜ばれます。
「もっと早く洋式トイレにすればよかった!」
というお声が一番多いように思います。
もしこれをご覧いただいた方で、和式トイレのリフォームをお考えの方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談くださいね。
最後に、和式トイレの洋式トイレへのリフォームの全体的な流れを画像とともに掲載しておきます。
和式トイレ リフォーム前です。
トイレタンクを取り外し、
床を解体し便器を撤去した状態です。
床板や根太が腐食しています。
床解体後に根太補強を行い
フローリングを貼っている途中です。
床・壁補修後に新しい便器と
ウォシュレットを設置し完成です。